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「私は、朋重さん同様に、信じていますよ。父もその片鱗を目の前で体験して信じ始めていると聞かせてもらい、安心しました。長子ちゃんが生まれてくること、私も楽しみです」
木乃美らしい素直で優しい微笑みに、荻野姉弟はほっと胸をなで下ろす仕草をそろえてしまうほど。千歳はいつも木乃美さんって癒やされる~とほっこりさせてもらっているのだ。
「ねえ、姉ちゃん。その古民家カフェ、俺にも教えてよ。木乃美ちゃんと行きたい」
「いいですね! 私も父が気に入ったお店なら行ってみたいです。お聞きした限り、雰囲気も質も良さそうですもん」
詳しく伝える前に、千歳から聞きかじっただけの内容で、伊万里は先にめぼしい場所をスマートフォンで検索しはじめる。
祖母お気に入りのフレンチレストランから徒歩でいける範囲なので、伊万里もそこまではささっと調べられるようだった。
だが千歳が詳しく伝えようと口を開く前に、伊万里がスマートフォンの画面を眺めながら、なにかに気がついた表情を見せた。
「あれ? 姉ちゃんが言っていた常太郎パパが先に目星付けていたシアトル系コーヒーカフェって、レストランからすぐそこの店?」
「うん、そうだよ。長谷川社長がレビュー点数もよくて、いまふうのお洒落カフェだから、若い私たちに合うだろうと調べてくれていたの」
「……閉店してるみたいだけど」
千歳だけじゃない、木乃美も眼鏡の奥の目を見開き、今度は女性ふたりそろって驚きの顔をそろえていた。
「うそ! だって、お食事会で集まったのは、ほんの二ヶ月ぐらい前だったでしょう。その時も若い人ばかりだったけど、お店の様子は盛況という感じだったわよ」
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