⑮ちぃちーちゃんのお墨付き

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「う~ん。高レビューが目立っていたみたいだけど、数少ない低レビューをみると『見せかけレビュー』とか『掃除が行き届いていない部分がある』とか『客層が若いせいとはいいたくないが、マナーがなっていない客が目立つ』、『店内がうるさい』とかあるね。『コーヒーの質もいまいち』だってさ。意外と数少ないこっちが真実かもな。若い人ってネット慣れしているから、こっちは客層が若い分ぽんぽんレビューが入っていただけかもしれない。若い子がわざわざ地味な古民家カフェとかいかねーじゃん」  千歳はまた呆然とする。何故かこんなときになって、お腹の中の子が元気いっぱいに千歳のお腹を蹴ってくる。  まるで叔父ちゃんが見つけたことに同意して反応しているような、喜んでいるような? 「伊万里の報告に反応するみたいに、ちぃちーちゃんが動き回ってるんだけど……」 「あー、なるほど! もしかしてちぃちーちゃん、ダメな食べものはダメってわかるんじゃねえの!」 「あ、そうかも、ですね! きっとコーヒーが美味しくないからやめておけと知らせてくれて、それで熟練のバリスタさんがいる目立たないけど名店のお店へと誘導してくれたのかも。しかも荻野とご縁があるの。しかも私の父が信じられるお店……。すごい!! 荻野のご加護さんが引き寄せるものってこいうことなんですね!!」  父が体験したことって、こういうことだったのかしら――と、また木乃美は眼鏡の奥の瞳をきらきらと輝かせて感激している。  そんな彼女の横で、伊万里は神妙な面持ちでさらに分析を続けた。
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