⑲ちぃとりぃ

2/8
前へ
/916ページ
次へ
「くるくる! 今日もでっかい肉の塊をいっぱい持ってくるって張り切っていたよ!」  ジョーじいちゃんが来るのひとことで、千歳も密かに胸躍らせる。 『千歳ちゃん、ひさしぶりだから、三ポンドステーキ肉持っていくからな!』。つい先日、今回の会にお呼ばれされている長谷川社長から連絡があったのだ。 『おーほほ! 恒例の初夏鉄板焼きの日ですな! 浦和の鮮魚に、長谷川の和牛、そして川端家の漁師メシ。〆は、荻野の菓子の数々! 私はをたーんと食べたいので、千歳、頼みましたぞ。あと麦酒ですからな!』  千歳の脳内で今日も、福神様がぽよんぽよんとマスコットのような三頭身で跳ねまくっていた。  まあ、でも。福神様のはしゃぎようもわからないでもない。なにせ今日は、浦和家、長谷川家、川端家、荻野家が一堂に会して、BBQパーティーを開くのだ。  これは千歳が出産後、長女の千咲が産まれてから始まったことだった。  千咲のお披露目会をしようと、千歳と朋重が住まうマンションに浦和家、長谷川家、川端家と招待をしたら、いつのまにか『今度はうちで是非』という話ができあがり、あちこちのお家でお食事パーティーが開かれるようになった。  鮮魚に和牛に菓子。あちこち持ち寄りになって、ものすごく豪勢になる。  そしてそこに荻野大食い姉弟が降臨する。食べれば食べるほど福が舞い込むからと、浦和の家も、長谷川社長も、川端漁師一家までもが、『食べて欲しい!』と持ち込んでくる。
/916ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5116人が本棚に入れています
本棚に追加