⑲ちぃとりぃ

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 千歳出産後、伊万里と木乃美が結婚をする。その直後、木乃美が妊娠。男児を出産した。同年、千歳が再び妊娠、次女の『千里(せんり)』を出産。年子のように、長子、従弟、次女と誕生。同時期に川端家のミチルが妊娠、再度、男児を出産する。さらにその一年後、長谷川家長男の龍介が結婚、さらに長谷川精肉の和牛が全国コンテストで受賞。浦和水産発の海鮮丼専門レストランを空港やJRと観光拠点に進出、業務拡大成功――というように、お祝い事が次々と舞い込んできた。  そのたびに、どこかの家に集まって会食が行われる。  これは食いしん坊の福神様のなせる技なのか、祖母の縁神様のおかげなのか、父の聖女様が『遥万君にとっても、素晴らしく良いこと』と円満に収めてくれているからなのか。末広がりとばかりに『よいおつきあい』で一族となりつつある。  今日はなんの名目もないが、雪が溶け花々が咲き始め、気候がよくなってきた北国の初夏を楽しもうと、漁村バーベキューで集まるのも恒例となっていた。  この一軒家には海辺からの風がよく入り、夏も爽やかだった。  丘から見下ろす浜辺に、遠く広がる石狩の海。今日は漁村の青空も広がっている。丘の斜面にはハマナスが咲いていた。  川端家との交流も長く続き、よく行き来する家族づきあい。それが高じて、ついには千歳所有の別荘をここ漁村に持つようになったのだ。  子供達の長期休暇はここで過ごすことが多い。親しく信頼関係も強い川端家に別荘管理職も委ねているほどだった。  川端家の息子夫妻となる恭太とミチルとは、同世代ということで朋重と共に特に親しくしている。  この別荘に休養にくると、ミチルと子供たちと交えて和気藹々とした休日を過ごすことも定例となっていた。
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