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こちらのお宅に初めて訪問したときに出会ったご馳走だ。いまも千歳の中では上位に君臨するメニュー。もう目を星形にして千歳はうきうきと川端家のキッチンへと向かおうとする。
「うっわ、姉ちゃんだけずるい。俺も俺も。いまあれこれここで焼いていて離れられないから、姉ちゃん持ってきてよ」
「おっけ~。五枚からいけるよね」
「いけるいける。足りないけど、あとで追加する」
川端家の大きなタコ天をのっけから『五枚ずつ食べる』と、先付け的に言いのける姉弟を目の当たりにして、これまたそばにいる常太郎お義父さんがギョッとしている。
「あのでっかいタコ天を、いまからこれだけのご馳走が控えているというのに、いきなり五枚! 姉弟でそれぞれ五枚、計十枚!? もうな、見慣れたと思っていたけれど、まだまだだな。うん。君たちは凄い、いつも景気が良い。いいね!」
食べるたびに『素晴らしい!』と絶賛してくれるちょび髭社長。伊万里の大食いを気に入ってくれ、姉の千歳にもいつも沢山食べさせてくれる。
おいしく沢山食べて欲しいお義父さんだから、姉弟の食べっぷりは嬉しくて仕方がないらしい。
「ジョーさんもいりますよね。お持ちしますよ」
「おう、千歳ちゃん頼むわ。ここ川端さんを伊万里君から紹介してもらってから、俺もタコ天大ファンだからさ。お嫁さんたちの魚の煮付けも唐揚げも美味いんだよなー。漁師メシはこちらのおうちが一番!」
伊万里が婿になってから川端家を紹介された長谷川社長も、いまは親族同然のつきあいをしてくれている。
浦和水産ファンの社長だから、浦和のルーツを残している川端家の食事もとても気に入ってくれていた。
そのうちに、ゆっくり会場入りのお祖父ちゃんお祖母ちゃんたちも到着。
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