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だがそこにも、曾孫たちがわいわいと集まってくる。
「ひぃばあちゃま、りぃのくつした見て」
「あら、かわいいわね。千咲とおそろいで見つけたものよね」
「ひぃばあちゃん、僕もパパとエビ焼くよ。僕がお皿に入れてあげるね」
「万季人、ありがとう。火傷しないようにね。ばあちゃまといっしょにエビ食べましょう」
「ひぃばあちゃま。のみものはなにがいい? 千咲、川端のおうちからもらってくるよ」
「まあ、千咲も。ありがとうね。じゃあ、冷たいお茶がいいかな」
曾孫たちはいつも不思議と千草曾祖母のところに集結する。これもいつもの光景だった。
ほんとうに不思議なのだが、おそらく曾孫の三人は千草祖母のそばにいるととても安心できることを直感でわかっているのではと千歳は思っている。そこにいる縁神様が覆う安心感だ。
特に子供たちを強く、縁神様が守ってくれていることがよくわかる。
それは祖母の願いでもあって、縁神様に通じているのだろう。そんな祖母も曾孫に慕われていつも嬉しそうだった。千歳と伊万里も孫として存分に可愛がってもらってきたが、それ以上の笑顔をみせている。
息子である父と孫の千歳に事業のほとんどを譲って離れはじめたので、祖母なりのプレッシャーが軽くなり、自分のことだけを考えられる日々を送り始めたからなのかもしれない。
次々と到着する親たちが、それぞれの面々と『おひさしぶりですね』、『お元気そうですね』と挨拶をかわしはじめる。
「千歳。タコ天を取りに行くんじゃなかったのか」
「わっ。そうだった。揚げたて! 冷えたビール!!」
朋重に言われて、千歳は慌てて川端家のキッチンへと急いだ。
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