⑳末広がりBBQ

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 婚約中、千歳の手に真珠が握らされていた不思議な空間でもある。  今日も神棚へと、千歳は菓子を供える。 「保食神(うけもちのかみ)様。お好きな『いちごチョコサンドのさくさくパイ』と『おはぎ』です」  神棚は高いところにあるので、そばにある棚へと置いた。  もう一度手を合わせて祈ると、背後から人の気配がした。 「まただ」  大広間の入り口、障子戸のそばに小学生の男の子が立っていた。  恭太とミチル、川端家若夫妻の長男。束冴(つかさ)だった。 「束冴君……」  千歳が初めて川端家に訪れた時、ミチルのお腹にいた子だ。帝王切開を回避して産まれてきた子。もう彼もしっかり者のお兄ちゃんになっていた。  小学二年生の男の子だが、漁師のお祖父ちゃんの影響なのか、男らしく落ち着いた男児だった。  その彼が千歳がひとりで祈っていた大広間に入ってきて、千歳の背後で身をかがめた。 「千歳おばちゃんが来ると、いつもここになにかが落ちてる」  彼が指先でつまみあげたのは『花びら』だった。 ※千歳と真珠の話はスター特典の『食べる魔女の縁結び』(コンテスト用書き足し分)にてエピソードがあります。 https://estar.jp/extra_novels/26058062(スター★1から)
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