㉑神様のお花見

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 長谷川社長も大きなステーキ肉をふたつ並べて焼き上げて待っていてくる。 「デザートは荻野のお菓子がいっぱいあるからな。子供たちも今日はおやつをいっぱい食べていいんだぞ~」  父・遥万もデザート専用テーブルを準備して、いっぱいにお菓子を並べ始める。  それぞれの家から持ち寄ったご馳走がずらっと並んで、子供たちもおおはしゃぎ。子供テーブルでお皿を並べて待っている。  そんな中でも小さな子たちをしっかり面倒見ているのは、一番兄貴の束冴で、そのお手伝いをしているのは次に年上になる千咲だった。  束冴はそんな意味でも子供たちのお手本で、千咲も見習っている姿が よく見られるようになった。 「では、そろそろ、みなさんで乾杯しましょうか」  浦和の正貴義父の一声で、皆が席に着いた。  川端のお嫁さんたちと、母と義母と義姉、祖母も女性同士の列に並んで揃う。そちらを見た正貴義父が、祖母へと視線を止めた。 「千草お祖母様、ひさしぶりに乾杯の音頭をお願いしてもよろしいでしょうか」  祖母はやや、気後れした顔を見せた。いつもは男性で年長者になる浦和の正貴父にお願いしてきた。でも今日は久しぶりに長老の祖母がいるので気遣ってくれたようだ。でも祖母としては現役から引退した心積もりなので、そんなに担ぎ上げてもらうのはもう気恥ずかしいらしい。  だがそれを許さない者たちが群がってくる。 「ひぃばあちゃまの乾杯? りぃもいっしょに言いたい。しようしよう」 「僕もひぃばあちゃんと一緒にする」 「えっと、じゃあ、ひぃおばあちゃまのグラス、千咲が持ってくる」  荻野の曾孫たちが、千草祖母を囲んできた。
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