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どうやら、祖母が言ったとおりに、今日は神様も大集合でご馳走を分け合っているようだった。
じゃあ、私もうんと食べてお届けしなくちゃね。
千歳は遠慮なく、この庭に集まったご馳走を家族、親族、親しい人々と味わった。
子供たちもいっぱい頬張って、かわいいほっぺを膨らませて、嬉しそうな顔をそろえている。
娘たちのかわいい顔を『ママにそっくりのほっぺでかわいいねえ』とか言いながら、朋重がまた何枚も撮影をしている。
夫にとっては、おいしく食べる顔が『かわいいお顔』となってしまっていて、千歳はちょっと気恥ずかしくなる。
『食べている顔は、油断していて可愛いのですね』――。朋重がそういって、初めてキスをしてくれたことを思い出しちゃうから。
食べる魔女だと知っても、そんな千歳をいまも大事にしてくれる麗しい夫と、かわいい娘たちを見つめて、千歳も微笑む。
神様たちも、ハマナスの薫りの中、楽しんでいるのかな。
千歳には見えないけれど、川端家から見える浜辺へと視線を馳せる。
ひらりと紅色の花びらがふっと見えた気がした。
※㉓話が最終話です
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