㉒純白のおしるし

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「お祖母様、見てください。千咲が夢を見て、これを、千歳が結婚前にこの家で授かったおなじものを握っていたんです」  前のめりで伝える朋重に、祖母も突然すぎてやや気圧されていたが、真珠を一目見てなんの報告かすぐに察してくれた。 「まあ、それって……」  祖母が千歳へと視線を向けてきたので、千歳も微笑んで頷く。 「お祖母ちゃま。千咲の神様はここの保食神様みたい。私とおなじものを授かって、夢でお話してくれたという千咲が聞いたお言葉は、保食神様がお好きな『荻野のお菓子』のことだったらしいの」  真珠を授かったことは、祖母にもすぐに報告して現物も見せていた。だから祖母も曾孫が真珠を授かったのは『神からのお知らせ』としてすぐに理解したようだった。 「千歳、朋重君。ふたりがここの神様と、こちらの漁村と、婿殿のご実家、そしてルーツを大事にしてご縁を育んできたから、保食神様が引き受けてくれたのでしょうね。しかも、こうして皆が集まって絆を深めている時にお知らせしてくれて――。保食神様にとっても楽しい宴だったのでしょう。これからも、幾久しく、荻野と浦和の縁を深く繋げていっておくれ」 「はい。お祖母ちゃま」 「もちろんです。お祖母様。娘も立派な長子として育てていきます」  孫夫妻の新たな決意を耳にして、祖母がほっとした笑みを浮かべる。 「お祖母ちゃまも安心いたしました。私も神棚に御礼に行って参りますね」  祖母がそのまま廊下を歩いて、子供たちが昼寝をしている大広間へと向かっていく。  祖母が歩いて行く先に、ミチルから飲み物をもらってキッチンで休んでいた千咲が出てきて、曾お祖母ちゃまと手を繋いで向かっていく。
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