②女性がいる家庭

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②女性がいる家庭

 本日は早番のため、いつもより少し早く自宅に帰宅。夫と義母と生活をしている小柳家の玄関からリビングへと入ると、芹菜母がひとりでうろうろしていた。  キッチンで行ったり来たり、リビングの壁時計へと視線を流したところで、柚希が帰宅したことに気がついてくれる。 「あら、もうそんな時間! おかえりなさい、ユズちゃん」  時計を見る前に、柚希が帰ってきたことで時間を知ったようだった。 「お義母さん、なにかあったんですか」  時間を忘れるほどキッチンで落ち着きなくしていたように見えて、柚希はそう尋ねる。そのとたんに、芹菜母も急に大きなため息をついて苦々しい顔つきになる。 「お昼にね、またモモちゃんがこちらで過ごしていたのよ。今日はね、離乳食の作り置きを一緒に作ったの。今日の分も一路君、おいしそうにパクパク食べてくれて、モモちゃんも嬉しそうだったのよ」  姉が一日を穏やかに過ごせたと聞いて柚希はほっとして微笑みたくなった。だが、義母が落ち着きない様子を見せているということは、万事上手く行ったわけではないことも悟って、すぐに笑みは引っ込んでいく。 「そのあともなにかあったんですか」 「一路君がそこで寝付いている間にね。ここのキッチンでお料理をしたんだけど。うちにある道具とかいろいろな調味料とか、冷蔵庫の中を見て、また落ち込んでいたのよね……」  妹としてその先がわかってきてしまい、柚希はバッグをダイニングテーブルの椅子において、今度は自分がため息を落とした。 「えっと……。実家というか、父が主である神楽の家は、なんというか男所帯といいましょうか」 「そう、そんなこと言いだしたの。『女性らしいキッチンってここのようなものなんですね。私、ぜんぜん、こんなキッチンにしていない』って!」
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