②女性がいる家庭

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「もちろん、モモちゃんも頑張っていると思うの。でも、自分と心路君の『大人が満足できる料理』はお互いに適当にできていたのでしょうけれど、赤ちゃんは自分たちより繊細で、母親としてより気を遣って料理をしなくちゃいけない初めての体験。モモちゃん、言っていたのよ。『いままで駐屯地営内で過ごしてきたことが多くて、料理は勝手に出来上がっている環境だった。料理は滅多にしなかった。料理ができる機会があっても、ヒガシと食べるものは、ほんとうにシンプルで量があればよかっただけでこだわってこなかった』と」  そこも最近の姉がコンプレックスを抱いているところだった。  防衛大学、そして幹部になるまでは営内宿舎生活。栄養士が管理した食事が毎日そこにあって、作らなくても食べてこられた。短期間、営外でのひとり暮らしをしていたが、ひとりが食べられる簡単なものだけで済ませてきていたようだった。  そのシンプルさで生きてきた女性が、新しくなった実家に帰ってきてみれば、女性雑誌に掲載されているかのようなハイセンスの実家になっていた。正確には、妹夫妻の一家が。本来の神楽家のキッチンは新しくはなっていたがシンプルなまま。そこで元自衛官の父親と現役自衛官の夫と自分が住まうと『殺風景』と感じ、ここに女の自分がいるのになんのセンスもないと衝撃を受けたのだろう……?  
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