④自衛官を守るのは……

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「俺、そんな百花さんと心路兄さんのこと。どこにいても守りたい、力を貸したい。一路君のためなら、できることはしたいと考えていますよ。どちらも自衛官のご夫妻です。おふたりが仕事でお子さんになにもできないことがあるならば。そこはお姉さん夫妻の義務だけではなく、俺と柚希も、もちろん俺の母も、全力でサポートしますよ。その時は遠慮してほしくない。それを……。最近の百花さんを見ていて、伝えたいなと思っていました」  また姉が。あの姉が、義弟の言葉に今度は声を漏らして思いっきり泣いている。そんなモモ姉を、制服姿の心路兄ちゃんがそばに来て優しく抱きしめている。  心路義兄が妻を抱きしめながら、彼も涙目でスーツ姿の広海へと微笑みかける。 「ありがとう、広海君。俺もいま、先輩たちがよく言っていたことを思い出したよ。自衛官を後ろで守っているのは『家族』だって。自分たち夫妻は、どちらかが家に残って守るということができない時もあるかもしれない。だから、広海君の言葉、すごく嬉しいよ。妻と抱えていた不安が軽くなった。お言葉に甘えて、これからはなんでも相談させてもらうから」  夫の胸の中では、か弱い女性になる百花姉がぼろぼろに泣いている。こんな時は年下の夫でも、心路義兄が頼もしい男として守る姿にも柚希は感動……。  さらに、広海もちょっと照れ笑いをしつつ義兄に語り出す。
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