⑦気になる近況報告

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 たっくん、すっごい男らしくなってる。お父さんにそっくりだし、いまは館野三佐のこと普通に自然に『お父さんの息子です』って言えるなんて! こちらが泣きそうになってしまった。  でもその隣では、誰よりも父子を見守ってきただろう寿々花さんが嬉しそうに義理息子を見つめているので、柚希は涙を出すまいと必死に堪えた。  姉も初対面の男の子にたじろいでいたが、すぐにいつもの自信に満ちた笑みを男の子にむける。 「初めまして、拓人君。柚希の姉で、百花です。そう、チヌークのパイロットだよ」 「いつも、芹菜ママがご馳走してくれるケーキに、チヌーク型のクッキーが乗っていて、それからチヌークというでっかいヘリのパイロットがユズちゃんのお姉さんと聞いて、会えるのすごく楽しみにしていました! しかもお父さんの防衛大学での同期って、すっごい偶然!」 「うん、お父さんは入学したときから優秀で、学年では代表になるぐらいだったんだ。だからみんなで『館野殿』って呼んでいたんだ」 「館野『殿』?」 「そうそう、殿様みたいなかんじ」 「えー、お父さんが殿様!?」 「で、私がモモタロウ。殿様が影であれこれ暗躍しているところ、私が表で大騒ぎ。自分は目立たないで手を下さず、なりふり構わず突っ走るモモタロウを駒にして結果を出すってやつね」  え、お父さんが手を下さず、モモタロウを駒みたいに操って暗躍?  と、解釈した拓人が『そんなことしていたのお父さん』と館野三佐を見つめたのだ。今度はあれだけ余裕を見せていた館野三佐が慌てた。 「人聞きの悪い言い方するなよ、モモタロウ。そっちが動いていることがわかったから、こっちもやりやすくなるように影でサポートしただけだろ」 「私だけ猪突猛進、馬鹿っぽく騒いだみたいになったじゃんか」
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