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「馬鹿みたいに騒いで終わりそうだったところ、騒ぎで終わらないようにしてやったんだろ。あのまま力で押しきっても、神楽と女子たちが不利になって終わるところだっただろ」
なにがあったのやら。館野三佐が冷静で正論だったのか、百花姉が黙り込んだ。
そこでまた父と寿々花さんが入ってくれる。
「もーさあ、玄関先で言い合うの終わりな。積もる同期生の話は、テーブルでしたまえ」
「そうよ。将馬さんったら、どうしたの。同期生だとムキになるのかしら。いつもの将馬さんじゃないみたい」
「うん。お父さん。やっぱりモモタロウと同級生だから? 三佐ぽくない」
「うん。俺もこんな将馬さん、初めて見たな。俺も聞きたいな。モモタロウの鬼退治、アンド、館野殿の暗躍計画」
拓人君と岳人パパまで食いついてきた。あの館野三佐が『たいしたことじゃない』とまたムキになって言い返していたので、館野ファミリーに笑いが沸き起こった。
ああ、仲睦まじいご家族として過ごしているんだと、柚希もほっとできる光景だった。
玄関でわいわいと挨拶をいつまでもかわしていてもと、やっと館野家も玄関からあがってリビングへ向かう。
リビングに入ると待ち構えていた芹菜義母がキッチンから笑顔を見せた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりましたよ。賑やかな声がここまで聞こえてきて嬉しいわ」
館野家の誰もが芹菜ママの出迎えに笑顔を輝かせた。
すぐに飛び出したのは拓人君。
「ママ、ひさしぶり! ママに会えるの楽しみにしていたよ」
当然、芹菜義母も拓人君の成長を目の当たりにして驚いている。
「たっくん! 去年会った時より、すごく背が伸びてない? え、お顔もお父さんにそっくりになってきて!」
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