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「えへへ、もうすずちゃんを越しそうなんだ。もう芹菜ママは越しちゃったかな?」
小柄な芹菜ママの隣に拓人君が並ぶとほぼおなじになっていて、ここでまた皆が驚き、もちろん芹菜ママも驚愕して拓人君とおなじ高さで目線を合わせている。
「えー! たっくん、嘘でしょ!」
「俺、いまクラスでいちばん背が高いの」
「俺、……オレって言ったの? たっくん??」
すっかり男っぽくなった拓人君を目の前に、芹菜義母はもう目をパチクリさせてばかりだった。
そこへ岳人パパが笑いながら近づいてきた。
「お久しぶりです。最近『もう僕と言うのはやめる』と切り替わったばかりなんですよ。食べる量も増えて大変です」
「もう~イケメンが三人押し寄せてきた気分よ!」
「お、拓人。大人イケメンの仲間入りできそうだぞ」
「え、別に、イケメンとかいいよ、そんなの」
ちょっと気恥ずかしそうに素っ気なくそっぽを向くのも、すでに男子の素直じゃない照れが出始めているのかなと、柚希はそっと笑っていた。それは柚希だけじゃなく、そこにいる大人一同もだった。
「でも懐かしいわ~。広海も突然背が伸びて、あっという間に越されちゃったのよね。あの時の嬉しいやら、寂しいやらの気持ち、ちょっと思い出しちゃった」
男子のママだったのは本当のことだから真実味があり、芹菜ママは息子の広海と拓人君を重ね合わせしみじみとしている。
「やっとママに会えて嬉しい。ずっと会いたかったんだ」
それでも拓人君がまだ小学生で無邪気なのもかわらない。ママにそっと抱きついてきたので、芹菜母も嬉しそうだった。
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