⑧しあわせのカタチ

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「俺は、拓人と清花ちゃんがいることで充分、幸せですから。彼女ももとは子供好きで、それでピアノ教室を始めたぐらいです。拓人と清花ちゃんを凄く可愛がってくれるので、自衛官で縛られる規律が多い館野夫妻の子育てに、これからも協力していくということに落ち着いています」  パパの報告に、拓人君も神妙な面持ちで口も出さずに大人しく聞き入っている。まだ小学生の彼だけれど、そこはもうパパからしっかり説明を受けて納得しているとわかる顔つきだった。 「そうだったのね。もうすっかり美音先生はそちらのご家族の一員になっていらっしゃるのね。それならママもお目にかかりたいから、次は是非、一緒にいらして」 「うん、そうだな! 決定だ。また近いうちに一緒においで。次は百合の季節がいいよなあ。芹菜さん」 「そうね。バーベキューでもしましょう! もう大方の日も決めちゃいましょう」 「うんうん。そうしよう。そのほうが柚希も広海君も休みが取れやすいだろうしな」  芹菜義母のいつもの柔らかな微笑み、父の勝の朗らかな笑みを知って、岳人パパも嬉しそう。 「ありがとうございます。拓人が芹菜ママや神楽教官のことをよく話題にするので、彼女もお会いしたいと常々言っていますので……。そうしましたら次回は遠慮なく。俺も紹介したいですから」 「陸自隊員が集うのだから、野外バーベキューの準備はばっちりだぞ。もう奥様方は座っているだけ、至れり尽くせりでOKと伝えていいよ。な、館野、心路君、百花もだな。私もだね、うほうっほ」  最後はいつもの父らしい茶目っ気が飛び出して、テーブルに一気に笑いが起こった。
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