⑧しあわせのカタチ

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「妻もWAC(ワック)(婦人自衛官)だから、初めてわかったんだ。辞めないように家族が支える、または上官が支えるってどうすればいいんだろうなって――」 「そこはさ。私も後輩たちを助けていくつもりだから。館野殿は上に駆け上がってなんとかしてよ――」  なんだ。同期同士、再会するなり口悪を叩いていたけれど、それほど一緒に過ごしていなくても、こんなに通じ合っているんだと柚希は驚かされる。  自衛官同期の絆ってこんなに深いんだと――。 「チヌーク、降りるつもりはないんだろう?」 「もちろんだよ。せっかくここまで積み上げてきたんだ」 「そういえばさ。今度、自衛隊地方協力本部の広報がさ、道民向けの『チヌーク搭乗体験』を企画していて、民間公開の広報一環で、一般募集をかける予定なんだ。習志野からチヌークを貸してもらうらしい。いま企画の段階で、習志野との調整をしているんだけどさ……」  その企画を口にした館野三佐が思わぬことを言いだした。 「その一般市民搭乗体験飛行のパイロットをやらないか。俺、推薦しておくけど。たとえば、『ママパイロット、育休から復帰フライト』とかさ。女性登用アピールを欲しがっている広報が飛びつきそうだろ?」  姉はギョッとしていたが、柚希と岳人パパは『それ素敵!』と笑顔で手と手を取り合ってしまっていた。  でも。館野三佐の推薦で、出来ることなの??
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