⑨同期の疎通

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「頼むよ。私は私で、同性として女性隊員が困っていたら、あの時同様、女も守れない組織ならこっちから辞める覚悟で切り込むよ」 「俺は上に行く。お義父さんぐらいの地位になって、妻も同期の女性も嫌な思いをしない組織にしていくよ」  話の内容で柚希も察した。やはり女性が働きにくい状況が残っている世界でもあるのだって。でもそれは、どこの企業も組織もおなじ。柚希の勤め先の『荻野製菓』は女性が経営者になるという珍しい企業のおかげで、女性優位の社風が整っているので助かっている。  そうでなければ、姉のように男性ばかりの組織の中で女だてらに身を立てるのは大変な苦労と危険があるということらしい。 『鬼退治』は、姉と館野三佐と同期の女性隊員のひとりが、大学校の男性先輩から執拗に行き過ぎた指導を繰り返えされたという話だった。  館野三佐も気がついていた。百花姉はもう『男の誰もが助けない組織なんかこっちから願い下げ。私がやりかえしてやる』と上級生のハラスメント現場を押さえて告発しようとしたらしい。それどころか、それを察した先輩が百花姉に標的を変更して女性ひとりの場に連れて行こうとした時があったらしい。もちろん百花姉は武道を嗜んでいたので最終手段として温存、身体を張って『こいつら全員追放してやる』と突撃モード。退学覚悟だったらしい。  しかしそこに上官を引き連れた館野氏が参上。ハラスメント先輩たちは御用となったとのこと。  それが百花姉と館野三佐の『鬼退治』だとのこと。  もう柚希は絶句! 「お姉ちゃん! なんでそんな危ないことしたの!! 一歩間違えたら……」
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