5113人が本棚に入れています
本棚に追加
「当然だろ。孫も女の子だからな。女性優位のパパさんなのは間違いない。もしお義父さんが鬼化したら、指揮も的確、攻撃対象は確実に消滅する」
「こっわ~! めちゃくちゃ優しそうなお顔の方なのに! でも頼もし~」
「いや、ほんと。副官をしていたから知ってる。優しいお顔の方だからこそ、怒らせたらいけないって。それほどに、スイッチ入ったら……もう……。陸将に昇格してさらに力がついているからな!」
「陸将の師団長なんて、めっちゃ頭上がらないじゃん。ほんとんどの人!」
館野三佐が震え上がったので、百花姉も『館野殿が言うならよほどのこと』と一緒に震え上がっていた。
どうやら自衛官同士、本当に怖い上官はここにありと感じあっているようだった。
自衛官同期ふたりの会話に柚希は大揺れだったが、隣で静かにしている岳人パパはまったく動じていない。
常日頃、館野三佐が自衛隊での苦労話を明かしているのかもしれない。
「そんなこと言ったら、モモタロウのお父さん、神楽教官だってめちゃくちゃ怖かったぞ」
「あ、うちの父ちゃんも怒ったら怖かったんだ。驚異うほうほになる」
「驚異うほうほ……! 怖くなくなるからやめろっ」
いつのまにか父の勝が引き合いに出され、何故か父が話題になると急にほのぼのモードに大転換。柚希も岳人パパと一緒に笑い出していた。
「だからさ。ほんと、冗談じゃなくて、俺から陸将パパに言うだけ言ってみるから。ママさん復帰フライトとして広報にもなるよきっと」
「じゃあ、体調も戻しておかないとね。自衛官モードに」
「いや、絶対にママでも自衛官のままなんだろ。なんでも完璧にしようとするなよ」
「殿に言われてもさあ……。館野君こそ完璧主義でしょう」
「俺、これでも最近、けっこう素で生きてる。完璧主義は家庭に持ち込まない主義になった」
「完璧は家庭には持ち込まないか、なるほど」
最初のコメントを投稿しよう!