⑩新しい娘たち

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⑩新しい娘たち

 姉の育休が明け、復帰すぐの職務が『チヌーク一般市民搭乗体験』にて、操縦パイロットを務めることと決定したようだった。  館野三佐がどう提案して事を運んだのかわからないが、あの時彼が言ったとおりに『ママパイロット、育休から復帰フライト』というコンセプトも付けられていたとのこと。 「それで、特別招待枠で、うちの家族をということで……。三人どうぞと言われたんだ」  この日、姉は久しぶりに制服を着込んで、『地本さんに呼ばれた』と言って市内にある『自衛隊地方協力本部』へと出掛けていったのだ。そこで『広報の一環として、ママパイロットの紹介も兼ねている』とのことで、姉に白羽の矢が立ったことを聞かされて帰ってきたところだった。  そこで地本のお偉いさんが『ご家族もどうぞ』と三名までの搭乗を用意してくれたとのこと。  帰宅してきた姉は、神楽家ではなく、妹が過ごしている小柳家へと帰宅すると、キッチンで夕食の準備をしている柚希と芹菜義母に声をかけてそう報告してくれたのだ。  凜々しい紫紺の制服を着ている姉が、そろって驚いている嫁と姑へと視線を向ける。特に、芹菜義母へと優しく滲ませた目線を向けていたのだ。 「芹菜ママ、私が操縦するチヌークに搭乗してくれますよね」  芹菜義母は茫然としていた。そしてすぐ隣の柚希を見て、おろおろしている。 「えっっと、あの、自衛隊に行って、乗せてくれるってことよね?」
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