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「何か飯でも食べるか」
今の所確認できたのは、キッチンに置いてあったカップラーメン8個だった。飽きないようにか、ご丁寧に違う味のものが2つずつ用意されていた。しかし、僕の今の気分は熱い麺ではなかった。何か夏らしいものを食べられないかと、冷蔵庫を開いてみると冷やし中華用の麺袋が置いてあった。
「これだ。これにするぞ」
僕は袋と共に、キュウリ、トマト、ハムを取り出して夏の風物詩を作る事にした。料理は得意な方ではないが、このくらいならば問題はない。少し手間がかかっても、望みを優先するのがこの世界では正しい事なのだ。
「いただきます」
ゆっくりと麺を啜りながら、前に料理をしたのはいつ頃だろうかと考えた。昔いた場所ではそうする必要は無かったと思う。しかし、幽霊であるという事実以外はまだ記憶が曖昧で、皿が空になる頃には思い出すのをやめていた。シンクに移動したときにテレビでも見ようとしたが、疲れてしまっていたから、すぐに布団を敷いてそのまま眠りについた。
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