276人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにそれ! 霊感とかあるの? 怖い事を言わないでよ、幽霊は苦手なんだから」
「きっと、あの父親からくるストレスだな。そんなことよりも腹が減らない?」
「どこかに連れて行ってくれるの?」
悪い女が態度を変えて嬉しそうにする。
「まあ、いつもの店だけれど」
「店を選ぶのが面倒なだけでしょ?」
「そんな事はない。初めて一緒に食事をした記念の店だろう? 思い出は大切にする方なんだ」
と、悪い男は嘯く。
「たまには違う店にも連れて行って欲しいんだけれど。アタシの誕生日に食事をするお店も勝手にそこで予約しちゃうし……」
悪い女の言葉に耳を貸さず、悪い男は料理の味を思い出しながらアクセルを踏み込んだ。
「……今日は肉料理にしようかな」
最初のコメントを投稿しよう!