悪い男と悪い女(1)

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「なにそれ! 霊感とかあるの? 怖い事を言わないでよ、幽霊は苦手なんだから」 「きっと、あの父親からくるストレスだな。そんなことよりも腹が減らない?」 「どこかに連れて行ってくれるの?」  悪い女が態度を変えて嬉しそうにする。 「まあ、いつもの店だけれど」 「店を選ぶのが面倒なだけでしょ?」 「そんな事はない。初めて一緒に食事をした記念の店だろう? 思い出は大切にする方なんだ」  と、悪い男は嘯く。 「たまには違う店にも連れて行って欲しいんだけれど。アタシの誕生日に食事をするお店も勝手にそこで予約しちゃうし……」  悪い女の言葉に耳を貸さず、悪い男は料理の味を思い出しながらアクセルを踏み込んだ。 「……今日は肉料理にしようかな」
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