僕と彼女(3)

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 友人の孤高な姿は周囲とは別の時間軸で生きているようだ。  きっと、こう言って微笑むことだろう。 『時間なんて人が勝手に作り出したものだ。そんなものに死ぬまで縛られていくのか?』  僕は彼女と並んで友人の目の前に立った。友人がフォークギターをかき鳴らす手の動きを止めて、だらりと垂らす。  フォークギターの音色が余韻を残したが、次第に駅前の雑踏に吸い込まれていった。 「やあ」  ピックを握ったまま友人が片手をゆっくりとあげる。 「絵描屋は休業?」 「そういうわけじゃないんだ。ちょっと急ぎの依頼が入ったから」  僕はそう応えて隣に居る彼女に視線を送る。彼女が僕の方を見て何故かウインクしていた。  僕の見ている方向に視線を向けた友人が、不思議そうな顔をする。 「どうした? そっちに何かあるのか?」  その様子を見て、呟いてしまう。 「本当に僕以外の人には見えていないんだ……」 「何が見えていないって?」 「ううん。なんでもない」  僕はとりあえず誤魔化してみる。
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