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そう応えながらも、これは僕の妄想ではないか、と疑い始めていた。
「痛い……」
と、思わず声を出してしまったのは自分で頬をつねってみたからだ。
「……もしかして自分自身を痛めつけるようなご趣味のある方だったのですか?」
それを見た彼女が両手で小さな口を隠すようにして、頬を赤くしている。
「そういう意味では……」
僕は彼女の存在を否定したいのか、つい視線を逸らしてしまった。その視線の先には大きなガラス窓を挟んで、店内で双子の女性店員が接客している。
一卵性双生児なのだろう。
「良く似ていますよね。僕には二人の見分けがつかないんですよ」
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