僕と彼女(2)

4/17
272人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
 何度もこの店を訪れているけれど観察する力が足りないらしい  二人とも腰の辺りまである黒いロングヘアーをポニーテールにしているのが特徴的だ。  歩くたびに長い髪がゆらゆらと左右に揺れている。  それは黒毛の馬の尻尾のようだった。まじまじと見つめるのもどうかと思い、僕は彼女に視線を戻す。  ところが、彼女も僕が見ていた方向に顔をむけていた。 「どうかしましたか?」 「こういうのはどうでしょうか?」  そういった彼女が不意に立ち上がった。 「少々、お待ちください」  そのまま店内に進んでいく。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!