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「どうですか? わたし、見た目は変えられるのです。この年齢で亡くなったのでこれ以上に歳をとった姿にはなれませんけれど。これ、幽霊あるあるですね」
僕は視点を彼女に定めることができず、思わず空を見上げた。
「こんな事が出来るなんて……」
「まあ、お亡くなりになっていますから」
そこで僕は気になった事を訊いていた。
「でも、どうやって輪ゴムが窓ガラスを通り抜けられたのですか?」
「……理屈はよく分からないのですが。恐らく、わたしが触れる事で存在が曖昧になるのではないかと思います」
「曖昧?」
と、僕。
彼女が考えている事を整理するように指を一本立てて、こめかみに触れている。
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