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……この女が原因か? どうして、この女は夫の話ばかりするんだ?
結局、夫のことばかり考えているのだろう。きっと世の中の女性はそうなのだ。
目の前にいる俺は何だ! 夫がいない時間を埋める為だけか?
「代替品……」
「なに? やっぱりオムライスが良かった?」
悪い女が悪気なさそうに訊いた。
その考えが悪い男の頭から離れなくなる。脳の中で蠢く寄生虫のように洗脳する。
「俺を見ろ!」
と、口の動きを感情に掌握されそうになるのを我慢した。そこで悪い男は口角をあげる。
悪い女の会話を中断させるように割り込んでいた。
「……ほら。俺は人を轢いただろ?」
「また、その話? いったい何度目だっけ。流石に聞き飽きたんだけれど」
悪い女が眉間に皺をよせていた。話を中断されたことで機嫌を悪くしたようだ。それでも悪い男は構わずに話をつづける。
「あの日はパチンコをしたくなってさ。車に乗ったんだ。誰かが俺の代わりに良い思いをしていると思うと、居ても立ってもいられなくて」
「……へえ」
と、悪い女。
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