僕と彼女(4)

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 それ以上に驚かされるのは料理の見栄えだ。食材の位置や形、色合い。それらは小料理屋で出てきたとしても、見劣りしないだろう。洗練されている。 「綺麗な料理ですね。お店に来たみたいです」  彼女の姿が見える僕には普通に料理をしているように見えている。 「他の人にはどう見えるんですか?」  と、僕。彼女が触れている間はこの世から消えてしまっている、と言っていたからだ。 「そうですね。想像するしかないのですが、包丁や食材が見えたり、見えなかったりしているのではないかと。あとは料理が急に出てくるかも」 「それは驚きますね。それにしても、料理ができるんですね?」  僕はその背中に訊いていた。  彼女が視線だけ向けて微笑む。 「それは、お亡くなりハラスメントですよ。よく母の手伝いをしていましたから、料理は得意な方です」  そう応えながら料理を作る手を止めようとしなかった。  ダイニングキッチンは六畳ほどの部屋だ。セーラー服の上からエプロンを着けた彼女が椅子に腰掛ける。 「さあ、完成です。ご飯が冷めてしまう前に食べましょう」  彼女の前にも料理が用意されていた。
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