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少年は部屋に戻って、ソファーに飛びついた。
「何でこの世界つまんないんだ……」
ソファーの上でジタバタと暴れたが、すぐに飽きてやめた。
「こんな自分の思い通りに動かしたのに、何でつまんないんだ……」
やる気のない表情で天井を見上げたが、特に何も変わりなかった。
「……ああ、そういえば、そろそろだ」
少年は起き上がり、再び部屋を出た。
「ここにあの創造主のクソヤロウが……」
マンションの7階、全身黒い服、黒いマスクと黒ずくめの男は、ある玄関扉の横に記載されている部屋番号を確認した。
「この合鍵で大丈夫なはずだ」
男は鍵を取り出すと、鍵穴に入れた。
「俺の恋人を『自分の世界に合わない』とかって消しやがって……、相打ちになっても絶対に殺してやる」
慎重に回すと、硬い音が小さく響いた。想定していたより音が大きかったので、腰につけている拳銃に手をかけて待ったが、十秒以上待っても特に何も起きなかった。
「よし、あとはこれで射殺すれば……」
「無駄だよ」
突然後ろから聞こえてきた声に振り返ると、少年の姿がいた。
「クソッ!」
男は急いで、腰の拳銃に再度手をかけた。
「止まれ!」
少年は口に出した途端、男の身体が金縛りのように動けなくなった。
「な……、で……」
男は顔をひきつったまま少年を見た。退屈が顔ににじみ出ていた。
「俺は創造主だから、被創造物のお前の行動くらい、お見通しだって」
「あ、ああ……」
停止したままの男の表情をまじまじを見て、失望した表情を見せた。
「退屈しのぎに俺を殺そうとするお前を泳がせて、寸でところで消したら面白そうだと思ったけど……、飽きた」
「……え?」
「消すのもつまんないから、ここから飛び降りて。苦しんで、そして死んで」
男の身体が大砲のように飛んでいき、地面に落下した。後頭部を強烈に打ち、苦悶の表情で絶命した。地面に横たわる男の顔を除いた少年の表情は、飽き飽きとしていたのが丸わかりだった。
「……思い通りに言ってるのに、なんでこうつまんないんだ」
少年は大きくため息を吐いた。
「……こんな世界、駄作だから消すか」
少年が消えると同時に、世界も消えた。
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