第二葬 孤独

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――――なんやこの空気。もしかしたらまたタブーの質問したんやろか。青山先輩が好きな話題は何やろう。そうや、女の子。女の子の話ならきっと乗ってくるはず。  彼女がどんな人なのか創世が訊ねようとした時、青山が沈黙を破る。 「東京と比べると、明石市は空気が綺麗だよね」 「あぁ、そういえば東京生まれなんでしたっけ」 「いや、生まれは明石だよ。でも、三歳の頃に父が転勤になって東京に引っ越してね。それから二十六歳までは東京で暮らしてた」 「へー、だからガッツリ標準語なんすね。でも、なんでまた東京から戻ってきたんすか?」  創世がその質問をすると、青山は物悲しい表情で再び口を閉ざす。 ――――おいおい、まさか明石に戻って来た理由を聞くことが爆弾のスイッチやったんか? この流れやったら普通聞くやろ。よし、今度こそ女の子の話を。 「そういえば」「母さんが死んだんだ」  創世の声に青山の声が重なる。 「へ? すんません、今なんて……」
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