第二葬 孤独

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――――もしかしたら青山さんってかなり面倒くさい人なんかな。どう頑張ってもシリアスな方向に話が行く。  創世が青山から視線を外して景色を見始めた瞬間、再び青山は語り始めた。 「ナンバーワンなんて夢のまた夢だった。僕はずっと底辺の人間で、客のゲロや便所の掃除をさせられていた。その頃から酷い潔癖症になったからダブルで地獄だったんだけど、汚れを少しでも残す方が嫌だった。ホストクラブのオーナーは僕の掃除の腕だけは買ってくれていたから、指名の無い人間にしてはまぁまぁ給料貰っていたとは思うけどね」 「その掃除の腕が今の仕事に繋がっている訳っすね」  景色から視線を戻して数回頷いた創世は、そろそろ明るい話題にしようと思ってラジオをAMからFMに変えて音量を上げた。陽気なポップソングが流れるかと思いきや、まさかの恨み節調の演歌が聞こえてくる。 「母さんはね、自殺したんだ」 ――――くそっ、始まってもうた。バックミュージックも最低や。頼むからこれ以上反応しにくい話は止めてくれ。  慌ててAMに戻すと怪しまれると思った創世は音量を少し下げ、青山の不幸話に耳を傾ける。
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