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玄関にはスリッパが一足転がっているだけで、骨董品などは何処にも置かれていない。
青山はHAKUを噴射しながら進んでいく。浴室やトイレ、廊下の全てをHAKUで消毒した後、問題のキッチンに足を踏み入れた。
キッチンは玄関と違い、生活臭が溢れている。ダイニングテーブルの上にはビール缶が転がり、食べ掛けのスルメが入った袋が置いてあった。シンク付近には蠅が数匹飛んでおり、この真下に遺体があったことを教えてくれる。
「よし、とりあえず殺虫剤撒いてからゴミの分別だね」
創世は青山の指示に従いながらてきぱきと業務をこなしていく。明らかにゴミと思えるものを袋に放り込み、遺品になりえるものは全て玄関前の廊下へ移動させた。
黙々と作業をすること二時間。ゴミの片づけは終わり、体液で汚れたフローリングの清掃に入る。青山は両手を合わせた後、ポケットから栗饅頭を取り出して黒いシミの上に置いた。
「酒じゃないんすね」
「あぁ、赤堀部長がコレにしとけって言うからね。この饅頭の包み紙、床に沢山捨てられてただろう?」
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