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「ここを変えるくらいなら、プラス三万くらいで済むかな。創世君、車に戻って上島さんに確認してきてもらえる? ここを取り換えないと臭いは残りますって。みどりさんが印刷した依頼書に電話番号も載ってるからさ」
「えっ、俺が電話するんすか? まだ社員でもないのに?」
「何事も勉強、勉強」
創世は青山に言われた通り車に戻り、あかね荘の大家である上島に電話を掛ける。
『はい、上島ですけど』
「あっ、あの……白創清掃社の白崎と申します。作業はほぼ終わったのですが、一部フローリングの下に体液の浸透を確認しまして。そこを修繕しないと臭いは完全に消えないのでさせて頂ければと」
『それってどれくらいで出来るん? 亡くなった本條さんの息子は全く金を払う気無いからな。縁を切ったから費用は一切負担せんとかふざけたこと言いやがってからに』
創世は鼻息が荒くなっていく上島を落ち着かせようとするが、上島は創世に喋る隙を与えずヒートアップしていく。
『なんにせよ、修繕費が上がるんなら本條さんの息子に請求してもらえるか? 勝手に部屋で死んで腐りおってからに、全部ウチが負担するとかおかしいやろうが!』
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