第二葬 孤独

19/44
前へ
/362ページ
次へ
「そ、その言い方はあまりにも酷いんじゃないですか? 本條さんも上島さんに迷惑を掛けようとして亡くなったんじゃない。勝手に死んだなんて言い方、失礼やと思います」 『なんやと?』 ――――言ってしもうた。  創世がそう思った時、アパートから出てきた青山が電話を寄こせと手を差し出す。  創世からスマートフォンを受け取った青山は、穏やかな口調で説明を始めた。 「大変申し訳ございませんでした上島様。弊社の新人が失礼な対応をしてしまい、心よりお詫び申し上げます。私、青山と申します。はい、教育不十分でした。全て私の責任です。えぇ、それは勿論でございます。上島様のお気持ち、よくわかります。確かにこの状況を全て大家である上島さんが負担するというのは弊社としても申し訳なく思う次第であります。確か上島さんは孤独死保険にも入られてなかったんですよね? えぇ、最近は高齢者の住まわれるマンションやアパートのオーナー様は入っておられる方が増えてきておりますのでねぇ。今後のこともありますし、ご検討頂ければと思います。あと、お見積りの件なのですけどね、先程新人が申し上げたと思いますが、一部床下に汚染がございまして。えぇ、そうなんです。それを取り切らないと近隣住民からクレームが入る恐れもあり、通報などされてしまうと直接上島様にご迷惑をおかけすることになりますので。弊社としましても心苦しく思いますが、承諾して頂けると幸いです」  青山はその後、二言三言会話を交わして電話を切った。
/362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

475人が本棚に入れています
本棚に追加