第二葬 孤独

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 創世が固唾を呑んで見守っていると、青山は「オッケー」といつもの調子で言って笑顔で振り返る。 「青山さん、交渉めっちゃ上手っすね。すんません、俺……感情的になってしまって」 「赤堀部長と比べたら僕なんてまだまだだよ。とりあえず、お客様を怒らせてしまった時には謝罪。こちらに非が無い場合でも、感情的になっちゃダメだ。感情に感情をぶつけても話は進展しないからね。お客様の気持ちが落ち着くまで謝罪を繰り返した後は同調。今回に関しては、何故自分が全て修繕費を負担しなければいけないんだっていう感情にね。あとは本当に話したい内容に移行して話していくだけ」 「勉強になります。ってか、今回みたいに息子さんに縁を切られて大家さんが修繕費を全額負担するなんてケースは結構あるんですか?」 「まぁ本條さんみたいに親子の縁を切ったとか、身寄りが一人もいないって場合はあるよねぇ。でも、これは赤堀部長から聞いた話だけど、今回の本條さんは亡くなられたお父さんの方から息子さんと縁を切ったみたいな話をしてたけどなぁ。宗教を引き継ぐ、引き継がないとかで揉めて、お前なんか息子じゃないとかなんとか言って追い出したとか。まぁでも、一番の原因は奥さんが若くして亡くなった事じゃないかなぁとは思うけどね。さて、僕は床下をチャチャッとやっちゃうから、創世君は遺品を整理しといてもらっていいかな?」
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