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「えっ、息子さんは全部捨ててくれって言ってたんすよね?」
「そうだね。でも、捨てて良いものか悪いものか、創世君の目で見て判断するのも大切だよ。捨てない方がいいものもあるかもしれない」
青山からその言葉を受けた創世は、段ボールに避けておいた遺品になり得るモノを一つ一つ確認していく。
――――青山さんって優しそうに見えて結構むちゃくちゃ言うてくるよな。お客さんに電話をさせたり、遺品整理を俺一人でやれって言うたり……。意外とドSなんかな。
創世がくだらないことを考えながら大きいアルバムを開くと、三十年以上前の写真がフィルム内に収められていた。肩を寄せ合う夫婦の間でピースをしているのは、縁を切ったという息子だろうか。
――――こんなに幸せそうな家庭やったのに。分からんもんやな。
アルバムを閉じるのに合わせ、掌サイズのメモがひらひらと落ちてくる。指で摘まんで確認すると、そこには『戻りたい』という四文字があった。震えた手で書かれたのか、字はガタガタに歪んでいる。
――――縁を切るって言ったこと、きっと後悔してたんやな。
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