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「客あっての商売やねんから気をつけんとあかんぞ? ええか?」
「はい。肝に銘じておきます。常識的に考えて、ここの清掃費は本條さんの息子さんが負担するべきですからね。あの、その息子さんのお電話番号って、教えて頂く事できますでしょうか? 成功するかは分かりませんが、清掃費用の負担をしてもらえるように僕からもお願いしてみようかと思いまして」
創世のその言葉を聞いた青山は焦った顔で固まっている。
「ほんなら交渉してもらおかって言いたいところやけど、無理や。電話しても出やせぇへん」
「一度、僕の携帯から掛けてみてもいいですか? あの、ちなみに本條さんの息子さんって何歳くらいの人なんですかね?」
「そんなもんワシが知っとる訳ないやろ。まぁ本條さんが七十八やから五十代ちゃうか? 名前は確か本條陽介って言ってたかな。まぁ一回掛けてみたらええわ。一銭たりとも払うかって感じのヤツやから」
上島はそう言いながら本條陽介の電話番号をスマートフォンの画面に表示させる。創世はその画面を見ながら自分のスマートフォンで番号を押していった。
七回ほどコールが繰り返される。上島が「ほら出ぇへん」と小さく呟いた瞬間、『はい』という低い声が創世の耳に届いた。
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