2章 第1話 何気ない日々

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2章 第1話 何気ない日々

キーンコーンカーンコーン🎶 チャイムが鳴った。 「ホームルーム始めるぞ」 先生が言った。その後委員長がいつものように起立から着席まで言った。 こんなのいつもの日常だ。怖がる必要もない。 なのに何故だろう。体が小刻みに震えている。なんか不思議な感覚だ。 さらにもっと不思議なことがある。 それは少し記憶を失っている事だ。 今日の日付は5月2日 俺が最後に覚えてる事は4月30日。ネックレスをつけてる理由を聞かれた事だ。 つまり30日の夜の出来事と5月1日の記憶がまるまる覚えてない事だ。 「なんでだ…?」 そんなことを考えてる時友達の声が聞こえてきた。 「おーい結城ー」 「…」 「結城ってば!」 「うぉ!?」 「やっと気づいた。ちょ体操着忘れたから貸してくんない?」 「なんだ、陸斗か。また忘れたのか?今年度始まってから何回目だよ。」 「えへへ、まあ、2回ぐらいだったかな」 「嘘つけ4回目だろ。盛るな」 「まあ、2回も4回も変わらんやろ!」 「いいや、結構変わるやろ」 このなんかアホみたいなこと言ってるこいつは緑鳥川(みどりがわ)陸斗(りくと)という。 今は2-2で違うクラスだが、去年同じクラスで、仲良くなった僕の数少ない友達だ。 「で、貸してくれるの?」 そう言ってきた。 「はぁ、今日木曜日だろ?僕が、体育あるのは金曜日だ。だから、今日体育服なんて持ってきてねぇよ。」 「まじ?前まで持ってきてくれてたのになんで?」 「それは当日の早朝にROX言ってくれたからだろ?家出る前だったから持ってこれてたけど、今回は言ってなかっただろ。だから持ってきてないって。」 ROXとはスマホやPCなどで利用可能なアプリで、電話とかメールとかのやり取りが出来るアプリだ。 「気の利かねぇやつやなぁ。」 偉そうに言ってきた。少しイラついた。 「はぁ?お前まずなんでそんなに忘れてるんだよ!」 「知らねぇよ。なんか忘れちゃうんだよ。」 「それなら出る前に確認すればいいやろうが。」 「いやそんな時間ないから」 「それなら早く起きて時間を作ればいいやん。お前毎回来るの遅いし、結構ギリギリで起きてんだろ。」 「それは…まあ、そうだけど。」 「だろうな。だから、早く起きればええやん。」 「けど、家から学校までまあまあ時間かかるし、家近のお前にはわからんやろうな。」 「なんだと!?」 「そっちこそ!」 「こらぁ!ストップストップ!!勝くんと緑鳥川くん、喧嘩はダメ!」 そうやって言い合いを止めに来たのは澪桜達だった。 「そうだよ、喧嘩はダメだよりっくん」 「なんだよ仁菜。喧嘩じゃねぇよ。なぁ結城」 澪桜と喧嘩を止めに来たこの子は久留主(くるす)仁菜(にな)。この子も数少ない僕の友達で、陸斗と幼なじみらしい。 「喧嘩まではいってないけどまあ、このバカと言い争いはしてたな」 「誰がバカだって?」 僕は少し煽った。 「やめなよ勝くん。」 「りっくんも落ち着いて。」 澪桜と仁菜は二人の間に入って言い争いを止めた。 「はぁ、まあとりあえず僕今日体育服持って来てないから、他を当たってくれ。」 少し反省した顔で言った 「分かった。悪かったな結城。」 「こちらこそ悪かった。」 と言って陸斗は教室から去って行った。 「で、久留主は何しに来たんだ?久留主の教室は2-4だろ。」 「澪桜ちゃんとパン買いに行ってて、で帰ってきたら喧嘩してたから止めに来たってこと。」 「そうなんだ。そういえば、今日は何パン買ったの?」 「今日は、焼きそばパン買ったよー。」 「私はメロンパン!」 「澪桜には聞いてない。」 「な!その言い方はないでしょその言い方は!」 少し澪桜は怒っていた。 「落ち着けって。悪かったって。」 「ふふふ。相変わらず2人とも仲良いね。」 「仲良くない!」 「仲良くない!」 僕と澪桜は同時に言った。
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