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「下、脱げよ。気持ち悪いだろう……?」
三輪が促すと、香川が立ち上がり、スラックスとボクサーパンツを脱ぎ捨てた。フローリングの上で、ビシャッと何かが弾けたような音がする。
達したばかりにもかかわらず、香川の中心は緩く起ち上がっていた。形もサイズも申し分ないそれは、自身の吐き出したものでじっとりと濡れそぼっている。卑猥すぎるその光景に三輪の喉がゴクリと鳴った。
香川がベッドに膝をつき、再び三輪を跨いだ。体に触れるのかと思えば、伸び上がってナイトテーブルの抽斗を漁る。取り出したのはコンドームの箱と小さなボトル、おそらくローションのようなものだろう。
「主任は何もしなくていいから、ここを掴んでいてください。無理だと思ったら言って」
三輪に枕の端を握らせて、香川が繋がる準備を始める。セロハンを剥がして箱を開封し、慣れない手つきで自身にコンドームを被せた。
白濁で濡れた性器に薄い膜が張りつく様が、ひどくいやらしい。三輪は無理やり視線を引き剥がし、枕の端をぎゅっと握りしめる。
(ヌルヌルしたアレに、触ってみたい……)
これまでの自分では考えられないような衝動が、体の深い場所から湧き上がってくる。思考に同調するように、下着の中で中心がむくりと頭をもたげたのがわかった。
準備を終えた香川はこちらに向き直り、三輪の膝に手をかけた。じわじわと脚を割り開かれ、下着がまた少し濡れてしまう。
「これじゃ主任も気持ち悪いですよね。脱がせてあげるから、腰浮かせて」
言われたままに腰を上げると、香川が三輪の下着をズルリと引き下ろした。ウエストの縁から赤く色づいた先端が飛び出し、唇を嚙んで羞恥に耐える。
いっそ一思いに脱がせてくれと、三輪は背中を撓らせた。それを待っていたように、男の手が尻を掴み、下肢を強引に持ち上げる。
「あっ――?」
露出して敏感になった先っぽを、ひらりと何かが掠めた。その正体を確かめる間もなく、熱いものに包まれる。熱く濡れたそれは、香川の舌だった。
「ひっ、あ、ああ……っ!」
窄めた唇で上下に扱かれ、唾液をまぶすように幹を舐め上げられる。信じられない。まさか香川がここまでするとは思わなかった。
「あ、どうして、こんなこと……っ」
「俺で気持ちよくなってくれたら、うれしいから。あなたがそう、言ったんでしょう?」
カリ首に舌を這わせながら、香川が切れ切れに答える。いつも手でしてもらうばかりだったので、口淫をされたのはこれが初めてだ。予想を超える心地よさに、三輪は陶然となって甘ったるい声を上げた。
「あ……、はあっ……あっ」
「このまま、体の力を抜いててくださいね」
前置きをして、香川が奥の窄まりに触れてくる。さっきのローションか、流れ伝った三輪の先走りかはわからないが、そこはヌルヌルしたものでぬかるんでいた。
指の腹で円を描きながら、ぬめりを借りて指先が中に押し入ってくる。違和感に眉を顰めると、宥めるように前を吸われた。後ろで指を出し入れされ、唇でペニスをかわいがられる。浅い息を吐いていたら、口の端からトロリと唾液が溢れた。
体中が濡れている。自分も香川も、どこもかしこもドロドロだ。なのに三輪は不快感とは無縁の、快楽の中にいた。
(熱い口の中も、ヌルつく指も、信じられないくらいに気持ちいい……)
三輪は枕から手を離し、そろそろと男の額に触れる。手のひらで汗を拭い、その手に舌を這わせた。
「主任……?」
「やっぱり、他人の汗もしょっぱい――」
最後まで言いきる前に、開いた唇をキスで塞がれる。探るように侵入してきた舌が口の端を舐め、舌の表面を擦り合わせてくる。驚きに縮こまった舌を慰撫するように優しく吸われて、脳天から指先までジンと痺れた。
(違う、義父さんとの時とは……)
自分の中を何かが這い回る感触も、吹き込まれる熱い吐息も、あの時と同じだ。だけど何かが決定的に違う。生温かくぬめる舌はおぞましいのに、一方でその未知の感覚に身を委ねて、溺れてしまいたくなる。
(体がゾクゾクする、だけど全然嫌じゃない)
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