晴れの日、靴職人は跪く

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「ああ」  心もち、智恭が緊張した声を出す。 「……将来は一人で店をやろうと思ってて」  巻き爪や外反母趾のケアの他にも、インソールの修正や歩き方指導など。 「出来れば、賑やかな商店街に小さなスペースを借りて。あとは老人ホームとか、来れない人の為に出張サロンとか」 「ここでやればいい」 「ん。よろしくお願いします」  頭を下げた晴恵に顔をあげさせると智恭は唇を重ねた。      陽菜の結婚式当日。  晴恵は眠っているところを恋人に起こされた。 「――が来た」 「…………え?」  時計を見れば午前六時。昨晩も智恭と睦みあって、寝入ったのは夜中すぎだ。 「ハルエ、オハヨゴザーマス!」  階下で陽気な声を出しているのは、多分ルネだ。 「すまん、晴恵の妹の結婚式に二人で参列すると言ったら『どうしても晴恵の準備をしたい』って言い出して」  といいつつ、ルネが作ってくれたドレスや自分が作った靴をクローゼットから取り出している男がいる。  ドアを開けたらルネが壁に寄りかかっている。
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