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#0 「アーススター」
これは夢なんだと思う。
それにしてもリアルな夢だ。
目の前にいるのは、話に聞くことがたまにある、所謂、「小さいオッサン」が、格好つかない奇妙なポーズをして立っていた。
「ワシはアーススターなんじゃよ。地底ではちょっとした有名人なんじゃ」
小さいオッサンが「ガハハ」と哂った。
「ちみ、ワシのこと知らんかね?知っといて損はナッシングじゃよ」
小さいオッサンはまた「ガハハ」と哂う。
哂い上戸なのだろう。
小さいギャグも云う。
「そんじゃ、またな、アデュー!」
突然、小さいオッサンが消えた。
なんなんだろうか。
小さいオッサンは何がしたかったんだろう。
ふと、目を開ける。
「うわ?」
目の前に「大きいオッサン」がいた。
「おまえ、こんなとこで寝てると風邪引くぞ」
それは父親だった。
「大きいオッサン」
不意に口を吐いた言葉に、
「なんだ、そりゃ、おまえ大丈夫か?」
父親が訊いて来た。
「大丈夫じゃない」
僕は本心を口にした。
了。
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