だから私は

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 そんなことを話していると、私を抱える撫子は緩やかにスピードを落とし、着陸する。 「…この辺ならいいかな」  降り立ったのは、高層ビルの屋上。 「アイツは空を飛べないので、ここなら安全です」 「…うん、ありがとう。気をつけて」 「はい、行ってきますね」  言葉を交わすと、彼女はビルから勢いよく飛び降りる。  見下ろすと、トカゲの化け物が高速でビルを這い上がってくるのを確認する。 「夜更かしは、美容に良くないんだからっ!!」  そう叫びながら、撫子は落下しながらハエ叩きの要領で大トカゲをぶん殴って引きはがす。  そして、宙に浮いた土手っ腹に、至近距離から桃色のビームを連続で撃ち込んでいく。  猛烈な爆音が幾重にも反響する。空中にいる相手に次々と攻撃を撃ち込むその光景は、さながら格闘ゲームを彷彿とさせる。 「凄い。これならすぐに終わ──」 ──そう言い切る直前、私は徐ろに振り返る。爆音に紛れて、背後から重い風切り音が聞こえた気がしたからだ。 「──え」 ──振り返ると、巨大な猛禽類の化け物が、嘴を開き待ち構えていた。 『しまっ──』  手足が硬直した私より、一寸先に反応したマーリンが跳ね、私の前に飛び出る。  鳥の化け物は突撃する。あんなぬいぐるみ、一突きでバラバラになるのは明らかだった。 「危ないっ!!」  横っ腹へ桃色の閃光が直撃し、怪物の悲鳴が木霊する。  今の一瞬で咄嗟に放ったであろう、長距離からの狙撃で化け物はのけ反り、嘴の先端は逸れる。 …しかし、それでも勢いは止まらない。 「──がはっ…」  私の体は、盾になったマーリン共々、6mはある巨体の体当たりで何百階建てのビルの屋上から放り出された。
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