本懐。

　死んだ死んだ。
　やーっと死んでくれた。

　ダラダラしぶとくよくもまぁ生きたもんだわ。5年？6年？アタシの人生返せってんだクソATMの癖してよ。

　まーいーわ。これでようやく自由の身。

　今日、身体燃やしちゃったら位牌だけ残してさ？あの下らない電車のオモチャとか、気持ち悪いブリキの人形とか、アンタのもんなんか全部売っ払ってやるんだから。

　とりあえず旅行かな、どこ行こうかな。温泉かな。
　えぇ、あん？ガキ共？
　なに？嫌がる訳ないだろ。
　考えろよ。例えば、アンタの位牌だけバッグに入れてさ？ちょっと泣いておいてさ？

「お父さんね、最後にもう一回ここの景色が観たかったって言ってたから。まだ魂がのこってるってお坊さん言ってたし、7日経たないうちにね？」

　こう言ってやるのよ。そしたら誰が文句なんか言うかっての。言わせねぇし。言われても行くし。

　ああ、いい気味だわ。金も多少は遺してくれたし、悠々自適には全然足りないけど。
　ホント、散々アタシの人生潰してくれちゃって、もっと早く死ねば良かったのに。
　思えばアンタは昔っからしつこさだけはピカイチだったわ。