#00. 恋は、知らないうちに散らかっている。

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「……ほんじゃおれは打ち合わせ入ってるんで。あ、二時に来客あるからまたお茶頼むな。キンキンに冷えたやつ頼むな」  と、黒沼さんはさっさと席を立ちあがりこの場を去ろうとするのだが、わたしは、待ってください、と彼を引き留めた。 「あの……、ネクタイ、曲がってます。直します」 「お? 悪いな。……ってか届くか? 悪い、屈むな」  と、ちびっこいわたしに合わせて屈んでくれる黒沼さんは、……間近に見てももんのすごくお肌が綺麗。陶器肌っていうのこういうの? いったいどんなお手入れをしていればこんな美肌が手に入るのやら。はーご尊顔が目の前でどきどきする……。 「……はい。出来ました」なんか奥さんみたいだな、と、一瞬トリップしかけた自分を戒める。「打ち合わせ……、頑張ってください」 「はいはい」うわ。頭を、ぽん、と撫でられた。心臓ばっくん。「言われなくても頑張りますよ。ありがとな」  ――ありがとな。ありがとな……。  不意打ちのデレ、来たぁー-----!!!!!
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