#01. 夏休みの思い出【過去編】

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 スーパーやドラッグストアは町の中心に集中しており、店内がやたらと広い。外国のスーパーマーケットやコストコ顔負けの規模だ。入口には、でっかいカートや、勿論、子ども向けの、可愛い動物の描かれた旗がついたちびっこいカートなんかもずらりと置かれている。他には、小さい子ども向けに、ちっちゃい、子どもが乗れる車のかたちをした乗り物なんかもあったりする。流石に保育園卒業とともにあの乗り物からは卒業したけれど。ミニカーにはご丁寧にも、ハンドルやドアもついていて、自由にスーパーのなかをうろつける。とっても素敵だった。わたしはあの乗り物が大好きだった。  そしてわたしは、病院前の道途中で、おばあちゃんに置いていかれ、……真夏の真っ昼間の能登の路上は決してうろつくものではない。みぃんな車で移動するひとがほとんどだし、ほぼ、無人。でもおばあちゃんは、年齢が年齢だから、っていう理由で、周囲には、車を運転するのを止められているらしい。――ああ、暑い。
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