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「こんな簡単にとれるんだったのか……」
独り呟きながら王子さまはガラスに手をかけて前面の大きな1枚を取り外します。
(((あぁ……どうせ高貴な人の気まぐれなのだから、早く通り過ぎてくれないかなぁ)))
小人たちのため息をよそに、王子さまは端正に整った顔の顎のあたりをさすりつつ、考えを巡らせる様子をみせながら木枠の端に腰かけ、中を思いっきり覗き込みました。
≪うわっ。可愛い。≫
白雪の透けるばかりの白さに陶器のに滑らかな肌、それを引き立てている艶やかな黒髪、つんと小さな鼻先に死しても尚バラ色の頬、ふっくらとして小さな唇はふんわりと引きあがり、ほほ笑んでいたのでまるで眠っているかの様でした。
≪でも、棺ってことは死んでるんだよなぁ……≫
ぷにっ。
唇に触れてみました。
ぷにっ。ぷにっ。
……えっ?なんで死体の、よりによって唇なんかに触れるのかって?
仕方ないじゃない。だって。男の子だもん。。。
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