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話は戻りーー
≪まるで、眠っているみたいだ。でも、眠っているのならわざわざ棺に入れるだろうか……。≫
王子さまは考えました。
≪と言うか、これは病気とか何かの事情で眠っているんじゃないか??知識の行き渡らない、こんな辺境の森に住んでいる人間の考えならば、ありえないこともない話だ。≫
もうしばし逡巡しながら、考えを纏めます。
≪誰がどの様な事情でこうしたかは分からないけれど病気なら治療で治る。そうでなかったとしても、城の老賢者たちに聞けば少しは何かが分かるだろう……≫
そう思い立った王子は髪の毛を一撫でした後おもむろに後ろを振り返り、従者2人に声を掛けました。
「ここに病気の女の子が居る。棺ごと持ち帰るぞ」
((え、ええーー?!?!?))
一声で持ち帰るとはいえ、こんな重たくて割れそうで運びにくそうなものを、一体だれが何とかすると思っているのでしょう。
しかし、王子は生まれながらの王子様。そんなこと気にも留めません。
「御意!」
全く気の進まないまま気の毒な従者達は、そう答えるしかなかったのでした。
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