三章 森の中での出来事

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あちゃー。 苦し紛れの言い訳にその場にいた家臣たちの誰もが心の中で肩をすくめます。 どこか後ろめたい気持ちから出た言葉でしたが、人形だなんて見え透いた嘘、話をややこしくするだけなのに流石天然ナチュラルボーン楽天家の王子様だと、その場にいた家臣たちもやれやれいつもの事だと顔を見合わせました。 「今時分はそのようなお人形の飾り方があるんですのね?」 はて。王子さまはその様なご趣味だったかしら……。 エリシアは眉を顰めます。 「良いですわ。エリシアにもっと良く見せてくださいまし!」 そうして止める間もなく棺に駆け寄り、しげしげと見つめた後 「まぁ!まぁまぁ!なんと言うことでしょう!」 エリシアはぷっくりと膨らむ血色の良い両頬に手を当てて、まるで子どもの様に声をあげました。 「そんな訳ないじゃありませんか。全く殿方ときたら本当に…… こちらの方は人間ですよ。良いですか、すぐさま葬儀屋さんを手配するのです!!」
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