一章 白雪の過去は……

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「この国に、一番は二人要らない……」 その日から、歯噛みした継母お妃さまのシンデレラいじめは始まりました。 もとより、そんな出来事は単なるきっかけであって 新しいお妃はそもそも白雪の事が疎ましかったのです。 初婚の新しいお妃さまは王様に自分だけを見てほしいお年頃。 それなのに前妻との思い出には勝てるはずもなく、ましてや前妻の忘れ形見をお世話するなんてまだ心が未熟なお妃にとっては荷が重すぎる役目でした。 王様は、元々隣国との折衝で忙しく、家を不在にしがちです。 そんな寂しさも相まって王様の見ていない隙に新しいお妃さまは 継娘の白雪が出来る限り美しく見えないように、自分の古いドレスを解いた端切れで作った服を着せ 食べるものはひとかけらのパンとスープのみ。 無視したり 足を引っかけたり きつく当たったり…… 些細な嫌がらせを白雪に対して繰り返しました。 けれども白雪姫は心が純粋で世間を知らなかったので…… と言うよりもぼんやりさんのうっかりさんだったので…… お継母様(おかあさま)がボロの服をくれるのは お父様の財産を減らさないための倹約 ご飯がパンとスープのみなのは太って醜くなってしまわないように 時々躓いてしまうのは嫌だけれども自分の不注意かもしれないし 無視をするのはきっと私が何かお継母様(おかあさま)の気に入らないことをしてしまったのでしょう きつく当たったのも私が至らなかったせい…それに証明できないし…… などと、悶々とした気持ちは抱えながらも 私が良い子にしていれば、きっといつかお継母様(おかあさま)は私を愛してくれる筈 と、健気に明るい未来を夢見て振舞うのでした。
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